elevator_girl



深町は、ばたばたと駆けてやってくる。
コンバースの紺、ハイ・カット。
時代遅れだろうがなんだろうが、スタイルを押しとおすのが彼流だ。


諒子は、深町にもこんにちは、と会釈をする。にこやかに。



この幸運を、誰に感謝しよう。と、松之は思った。


やっぱり、彼にかな。と...親友、深町に心で「ありがとう」と。








「でも、そうしているとウチの学生みたいですね」と
深町は諒子にそう言う。
あら、学生さんなんて...と、諒子は照れる。

松之も、いいえ、さっきもここの学生だと思っていたのです、
と、真面目な顔をして言うので
皆、吹き出してしまう。


いや~、松之くんがそんな事を言うとはねぇ、と
深町は大きな声で笑い、松之は、いや、本心だ、と
本当に真実を伝えているのだが、本人が熱弁するほど
こういう事は伝わらなかったりするものだが...

私、柳さんのお言葉を信じます。と諒子が
そう言うと、深町も、そうだな。俺も本当は
そう思っていたんだ。だけどさ.....と
松之の直向きさを少し羨んだ顔で深町は空を仰いだ。


いつの間にか、曇り空はすこし明るくなってきている。
さっきまで降りそうだったのに、と深町は思う。
風に混じった雨の匂いは、霧散していた。

「あ、せんぱーい。」
夏名が、にこやかに手を振りながら
共通教育棟の方から、深町たちを見つけて。
ちょこちょこと歩いてくる。