言葉にならない。
重い足を引きずるように、今日も丘の上キャンパスまで登り
いつものように講義が始まる前に、図書館へ寄ろう、と
坂道から、雛壇地への階段を昇る。
左手にある金魚の池。
時計塔はメタリックな装飾で、今日は陽の光が弱く
アルミナムが鈍く光っている。
図書館は右手なので、ゆっくりと右へ曲がる。
大きな銀杏の木が、あの日、夏名と戯れていた時と
同じように揺れている。
見上げると....。
さらさら、と
何事も無かったかのように。
....そう。
松之は思う。
何も無かったのと同じだ。
自分の中でだけ、何かが起こり
そして、自分の中で....。
このまま、終わってしまうのだろうか。
そう言う事もあるかもしれない。
これは、心の問題だから.......。
どんなに手を尽くしたところで、ダメなときはダメだ。
心と心の交流、なんてそんなものだ。と
松之は、悲観的になっていた。



