激しい排気音は、雷鳴のように。
黒いオートバイ。
低く、地を這うようなフォルム。
風を切るライダーは、
スレンダーなシルエット。
深町が穿いているような、ブルー・ジーン。
ナチュラル・インディゴのそれを、ラフに。
ジャケットは軽く、風に舞う。
シルバー・グレィのフルフェイスヘルメット。
軽く、ロードでツイストしながら
松之たちの丘の上キャンパスへと
ヒル・クライム。
いつか、深町が危ない目にあった
あのトンネルも軽やかに駈け上がり
キャンパス、付属図書館の前で
そのオートバイは静かに停止する。
サイド・スタンドで大きく傾く
そのオートバイは、アメリカーン・タイプ。
低いハンドルが短くまとまり、黒と銀だけの外装。
メタリックな輝きとモノトーンがシックな
重量級オートバイだ。
軽やかにバイクを下りたライダーは
シルバー・グレィのヘルメットを取る。
「こんにちは」と、にこやかに微笑む
そのライダーのかたさきに、さらりとした
長い髪が流れた。
松之は、あっ、と息を飲む。
そのライダーは、諒子だった......?



