「..........。」松之は、風のように気楽な深町を
羨んだ。そして、すこし気が軽くなった。
本当にまた、ストリートで逢えるかもしれない。
そう「希望」を持った。
「あ、それと」深町は、大切な事を言い忘れていたような気がして
付け加えた。
「なに?」松之は、淡い期待を、丘の上から見る
手の届きそうな青空に向けて、拡げているような気持ちだったところ...
「うん、まあ.....Angelだって言ったけど」深町は、言いにくそうな言葉なので
敢えて、英単語を使って言う。
「....ぁぁ...。」松之は、すこし、その時の気持ちを思い出して。
ちょっと恥かしくなった。
「俺も、そう思うよ。心の中に天上のもの、と云うか....そう言う気高いものを
持っていると思う。そうじゃないと、クリエイティヴな作業はできないからな」
深町は、彼に似合わないような言葉で。
「....?」松之は、訳がわからない。
「でもな。それとさ、お前とりょーこさんが気持ちが通じるか、ってのとは
別の問題だ、って事なんだな。ま、これは。仕方ないことで」
「そんなのわかってるつもりだけど..。」松之は、考えたくない言葉に直面する。
「うん、それで....だから...俺が言いたいのは、Angelだって、天使だって。
ひとりじゃないだろう、って事さ。そう考えると、気が楽にならないか?」
松之は、相変わらず風のように自由な奴だな、と
どうしたらそう、浮遊していられるのだろうと、その思考構造を真似したい、と思った...。
でも、そんなのは、今は考えられない。ともまた思うのだった。



