elevator_girl



「じゃあ、赤ちゃんの時とかに快い記憶が無かった子は?」と、シュウは叔父に尋ねる。


叔父は、真面目な顔になり「うん、実はそれが今、多いんだな。『愛』を知らない。
と言うか、『愛』の感覚が解らずに優しさだけを求める人が非常に多いんだ。

赤ちゃんの頃、親が親自身のことにしか興味がなかったりして
赤ちゃんをないがしろに育てた。

そうすると、その赤ちゃんは、欠乏感と怒りだけが無意識に残る。

大人になって恋をする頃になっても、愛されたいとだけ思う。異性についても同じだ。
それでも性的な興奮は、生物脳で反射的に起こる。だから、表面的には恋愛しているように見えるが...
生物的な快楽の共有でつながっているだけだ。
こういうタイプは顔を見ればわかる。なんとなく、不快そうな感じ、攻撃的な感じに見えるからだな。
付き合っている相手の愛し方が解らないから、自分の嗜好に過ぎない事を押しつけたりする。
食い物の趣味とか、服飾の嗜好とか、相手の好みより、自分の趣味を押しつけたりする。
単純な支配欲だが、生物脳の動きだ。低級な行動だな。こういうのは....ま、NGだな。」と

深町の叔父は、楽しそうに笑う。そういうスケールを持っていて、ダメな相手はどんどん切っていって
いろんな人に出会えばいいんだよ、とも。


「じゃあ、叔父さんはどうして今まで結婚とかしなかったの?」とシュウは、素直に尋ねる。

叔父は、ごく普通に「まあ、なんて言うか....『愛』の無い人ばかりだからだな。」と
本心だろう、口調がそう語っていた。





そうか....。深町は思う。
これからは、素直に生きて行こう。失敗しても。と...。