elevator_girl




「よくわからないよ」と、深町は言う。





「そう、わからなくていいんだ。感情だから。
それをルールで抑制するのは、まあ、日本は一夫一婦制だから
ひとりしか妻にできない、っていうところから、
日本人は無意識に規制してきたからなんだ。
イスラームに行けば妻がふたり、なんてのは当たり前だしな。」

「ふーん...。」ただ、深町は頷くしかない。

「でもまあ、イスラームの女たちはそれに納得してるわけじゃない。
制度と思って我慢してるだけだ。あの国は男社会だから。
やっぱり、1:1ってのは人類としては順当なんだよ。」





「そうなんだ。」妙に説得力があるな、と深町は思う。
だから、僕はひとりだけを真剣に愛したいと思ったんだ、と。





「だから。」叔父は、すこし真面目な顔をして言う。
「シュウがさ、その、諒子ちゃんを救おうとして
心ならずして抱きしめた時に、なんか、愛しさが消えちゃったって
その理由は、割と簡単だよ。