elevator_girl


その翌日、深町はフィアット500を返却する為に
沼津にある、叔父の家に向かっていた。
それまでの高揚した気分が、嘘のように落ちこみ
第一国道を通り、海沿いの町。
海岸で桜海老を干している、由比の港町を横目にみながら。

..桜。

深町は、あの春の日、桜舞い散る中の出会いを思い浮かべていた。
そのシーンを思い浮かべても、かつてのように胸がときめくことはなくなっている。

桜の花ですら、モノクロームの灰色に感じられた。

国道から外れ、旧街道をゆっくり、ゆっくりと進んだ。
時が流れていくように、思い出も消え去って欲しいと思いながら。


.....俺は、これからどうなってしまうのだろう。
罰が当たったんだよな。

夏名と言うsteadyを得ながら、諒子に声を掛け...
幻想を抱いて、それを壊した。ひとりで。

バカ、としか言いようがないな....。

やっぱり、こころのどこかで諒子さんを好きだったんだ。俺は。
でも、友と恋を争うのは嫌だったから、それで......。