elevator_girl


「うそですよ~。体重なんて分かる訳ないじゃない。」
と深町は笑う、でも...諒子は。

「.....。でも....。」背を向けたまま、丘の下の街灯りを眺めている。
長い髪が、夜風にたなびいて涼しそう。



深町も、その背中から、一度合わせた体の温もりを思いだして
胸がどきどきとときめいた。

やわらかな感触。香り。
折れてしまいそうな躯。
髪の匂い。
イメージでしかなかった「諒子」が、実体として深町に記憶されると
最早、幻想の天使、などと言う表現では表せられなかった。
いくら理屈を付けてみても、所詮、現実にはかなわない。
理論は実踏を越える事は出来ないのだ。




...まあ、事故だから仕方ないよな。




一部始終を見ていた松之は、まだ呆然と黙って傍観するだけだった。


なぜ、自分が飛び出して行けなかったのか、と悔やみながら。








しかし。

深町の思いは複雑だった。

風船をきつく抱いたら はじけてしまったような....