「プラネタリウムなのか?」松之は言う。
「いや、今、空にある星さ。」と、深町は事も無げに。
「シュウ ってすごいのな。」と松之が言うと
「ああ、こう見えても理工学部だから。」と
深町は、ちょっとおどけてそういう。
諒子は、楽しげにくすくす笑っていたが、「あ...雲、切れた。」
小窓から見えるペントハウスの外に、すこし星空が見えていた。
深町は、外へのドアを開けて、屋上に出てみた。
そこは、研究施設の屋上なので、だだっぴろく伽藍、としていた。
眼下に広がる街灯りが、まるで銀河、ミルキィ・ウェイのようだった。
諒子は、ふわふわと所在無げに屋上へ歩き出す。
ここの屋上には低い手摺りしかない。
「危ないです、気をつけて。」高所恐怖症の深町は、声を掛けた
「へーき、これくらい....ほら、まるで天の川みたい。」と
諒子は、屋上のへりに立って。
ここ、天の川の岸辺みたい。なんて言いながら
屋上の端を歩く。
「でも、織姫がひとり、彦星がふたりじゃなー。」と深町が冗談を言うと



