深町は、昼休みを終えて
人影まばらな講堂に来て、のんびりとくつろいでいた。
どうせこの時期、3年生は就職活動に出ている者がほとんどで、大学に来ても
ほとんど講義らしい時間はなかったから、講堂は伽藍堂のところが多く
レストハウスにするには適当だった。
階段状になっている座席は、教壇に向かって放射状に広がっており
さながら音楽堂のようでもあった。
深町は、その最上段から下を見下ろす。
その時、スマート・フォンのコール・サインが鳴った。
サウンドは、シンセサイザーで合成したピアノ音で奏でられる
オリジナル曲。
クロード・ドビュッシーの「月の光」と、エリック・サティの「ジムノぺディ#3」の
エッセンスを用い、ポップにしたような曲だった。
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