同じ頃、桜井家。
諒子は、止まない雨の空を見上げながら
短冊を切り、七夕飾りの支度をしているところだった。
雨が好きな諒子だったが、7月7日は晴れてくれるといいな、と
思いながら。
淡い色の和紙をいくつか選び、細く切ったり....
その飾りを見ると、祖母がとても喜ぶからだった。
二十四節季、春夏秋冬。
年齢を重ねるに連れ、そうした時の流れをいとおしくおもうのでしょうと
諒子は内心思い、祖母の気持ちを大切に思い
毎年、こうして飾りをつける。
ふと、気づく。
サイレント・モードにしてあるハンディフォンの、メール・インディケータが光っていた。
.....なにかしら?
諒子は、E・メールを開いた。



