へえ...
深町は感心する。才能あるんだなぁ。
いろんな才能がある。
こういう部分は、深町はまるでダメだから...却って感銘を覚える。
お結びをつまんでみても、水っぽくなく、塩気はやや不足かなと思うが
おかずを食べてみると、その塩気が適当な事に気づく、と云う
配慮の行き届いたものだった。
深町の母方の実家は寿司屋だから、美味い米には慣れているが
決して高級品の米を使ったわけでもなく、しかし美味である事に
技能を感じ、深町はまた、感心した。
そして、少々申し訳無く思った。
....こんなにまで気遣ってくれるなんて。
湯瀬の意図するところは、さっきの雰囲気から大筋で見当は付く。
....でもなあ。
美味な弁当を頂いて、なにかお礼をしなくちゃな、と
深町はラッピングの紙を見た。



