雨はまだ、降り続いている。
廊下を歩いて、屋上に向かう階段を昇って。
屋上へと出られる鉄扉の前、ガラス窓に金網が入っていて
いかにも武骨なそこには、誰が置いたか
丸太ふうの木のベンチが置かれていた。
今日は、誰もいない。
時々、ここでお弁当を食べている子がいたりするのだけど。
深町は、やっと落ち着けるな、と
ベンチに腰掛け、無地の紙袋から
昌子の作ったラッピングを取り出した。
薄い、透明なポリ・ラップに包まれた中は、何か印刷されているシートのような
紙、それを開くと
愛らしく俵に結ばれたおむすびに、海苔が巻かれていたり。
小分けにされた、つまめるようなおかずが数品。
どれも、手際良く、作りたてのような香気を放っていた。



