朋恵の要望を深町は、なんとなく避けた。
深町自身のそういう理由も勿論あったが
彼自身、その複数の人たちの気持ちを思った。
恋には攻撃的ニュアンスが多分に存在する。
しかし、深町は優しい性格なので、争うよりは
勇気ある撤退を選ぶタイプの人物だった。
自分の為に朋恵を得たい、と彼は考える事ができなかった。
結果的にそれは、朋恵の求めには添えない結果を呼び
失意の朋恵は、それきり深町の前に姿を見せなくなり
それを慰めた若いドクターが、朋恵のパートナーとなった。
愛は理想のみにて成就しない。
朋恵が以後も深町を思っているか否かは定かでは無い。
ただ、後に朋恵が生んだ子にはなぜか深町と似た名前が
付けられている、らしい....。
....なにを考えてるんだ、俺は。
深町は、ふと自分が可笑しくなった。
諒子さんが朋恵と一緒な訳、ないじゃないか!。
それは、深町の妄想だ。
印象が似てるからと言って、同じ人生を歩むとは限らない。



