「そんなすごい車をもってたのか」と
松之は、違う感想をまた、述べた。
「いや、親戚のおじさんのを借りたんだよ」よ、深町は素直に。
「本当だ、沼津ナンバーだ」と。
松之はナンバーを読む。
沼津58、た、9432、とあった。
「親戚が多くていいな、シュウは」と
松之は、移民の悲哀をすこし、滲ませた。
「このナンバーには、思い入れがあるんです。」と、深町は言う。
どんな思い入れなのですか?と、諒子。
「ナンバーを貰った日が、1994年3月2日なのです。
今と違って、番号は順番でしか貰えない頃だったから...
叔父さん、並んでる人に頭を下げて、順番を譲って貰って。」
「でも、その番号が貰えるってわからないじゃない?」と松之。
「うん、だから、その時、近くの人が持っているナンバーを見て
これなら...と機転を効かせたんだな。」
「素敵なお話。」と、諒子。
「なぜです?」松之は不思議そうに。
「だって...この車をそれだけ愛しているって事、でしょう?」



