elevator_girl


はい、そろそろ...と諒子が答えると
「それでは、お送りしましょう」と。
理工学棟の玄関先にある物体を指で示した。

物体、と表現した方が適当な程
それは、自動車、と言う形態からかけ離れたイメージであった。

「まあ.......。」諒子も感嘆の言葉を失った。


アルミニウムのボディが細長く、
そこの4隅に、タイアが飛び出している。
屋根は無く、ドアすらも無い。
平面硝子で切り立ったフロント・ウィンドウ。
しかし、ヘッドライトは飛び出して
目玉のように丸く見えるし
ラジエータ・グリルは突き出した口のようで。


「お魚みたいで可愛らしい。」と諒子はにこにこしてその車を見た。


「すごい車だな。シュウ」と松之は
男の子らしい感想を述べた。

「ああ、これは1960年代のレーシングカーだから」と深町は簡単に説明する。

イギリス、ロータス社の天才エンジニア、コーリン・チャプマンが設計した
傑作レーシングカー、ロータス7の
複製だ、と。