「あ、あれ....?」
松之は、何が起こったのか分からなかった。
「すみません!柳さん、私、つい、咄嗟に...。」
護身術であろうか。
「合気道を習っていたものですから、お怪我ありませんか?」
と、諒子に介抱された松之は、これなら
投げ飛ばされるのも悪くないかな、と
さっきまでのメランコリックな気分が、吹き飛ばされてしまった事に感謝した。
...ショック療法、かな?
松之は、目前にある諒子の優しげな顔を見て
なんとなく、奇妙に安らいだ。
松之は、ふと気づく。
「あ、諒子さん、時間、大丈夫ですか?」
午後の陽射しは傾き始めている。初夏、とはいえ....
「あら、いけない、私、そろそろ戻らないと。」
諒子は、すっ、と立ち上がりエレベーター・ホールの方へ向かう。



