当然である。心の愛、は無限に自由だ。
だが、対象が人間であれば、様々な現世的制約に阻まれ
心の愛は絶対自由にはなれないからだ。
心と心、愛と愛が、現世的な制約無く結ばれるなら--
それが真実の愛、と言えるであろう。
音楽のエクスタシーなら、音と心、無次元の存在同士が
どこまでも限りなく自由に、遊ぶ事ができる。
それはひょっとして、安っぽい恋愛などより美しく気高いものかもしれない。
だから、その行為を記したものを「レコード」(記録)と呼び
その行為の様を、人々は芸術と呼んだりする。
誰かの恋愛の様が、鑑賞に値するだろうか?
いや、鑑賞に値する程美しい恋愛でなければ、すべきでない。
深町はそうとすら考えていた....。
丁寧にエンディングを弾こうとしていた深町だった。
でもそこに、聞き慣れないデジタル・シンセサイザーの
ややぎこちないコード・バッキングを聞き、驚く。
振り向くと、夏名が
古いショルダー・タイプのポータブルキーボードを背負って
にこにことしながら、深町にアンサンブルしていた。
..そっか、カナちゃん、ありがと。



