elevator_girl


それから、松之は
科学資料のコーナーへ向かい
諒子と、植物図鑑を閲覧した。

ここは、歴史ある図書館だから
古くからの資料が沢山残っている。
図鑑のひとつひとつ、全てを見ていきたいような
気持ちになります、と諒子は松之に告げた。

何故ですか?と 松之は尋ねる。

すると諒子は、図鑑にある草花の絵や写真、
そこに、命があった証しだから、大切に見て記憶したい、と...

思いもよらなかった回答に、松之は感銘を受ける。


....命.....。

同時に、先刻、脳裏を過ぎった
ミレーの晩鐘にある終止と祈りのイメージ、それと諒子を重ね合わせて
見ていた印象、それの理由に思い当たったような気がしていた。

「諒子さん、思い出を大切にされる方なのですね。」と
それだけ告げた。

そんな君を愛しいと思う、と告げたい気持ちを秘め、そう告げたので
諒子は瞳を伏せ、微笑んだ。

その微笑み、それだけで松之はとても幸せな気持ちになる。
彼の言葉を借りれば、それは、天使の微笑み.......。なのであろう。