一方の松之は、図書館で諒子と二人きりになれて
嬉しい反面、どこかしら寂しさも感じていた。
親友、深町の思いも松之は微妙に感じ取っていた。
譲ってくれていた事も、よく分かっていた。
その気持ちが感じ取れるからこそ....
深町の気持ちを考えると、寂しくなるのだった。
「どうかなさったのですか?柳さん」
諒子もまた、松之が黙ってしまったので。
松之はどっきりとして、その、センシティヴな諒子に驚く。
そして、ある決意を秘めて、諒子に向き直る....。
図書館のエントランスは薄暗く、そこから書架に回り込んだ辺りは
どことなく、隠蔽された空間をイメージできる。
だが、それはあくまでイメージでの事。
実際には、話し声などは皆、四方に拡散してしまう。
論理的に考えれば、こんなところで決意を表明されても
返答に困るだろう。そう考えるのがふつうだ。
でも、なぜか不思議な熱意が松之を支配する。
それで、諒子に向き直った松之。
間近い距離で見る諒子は、松之のイメージとはやや異にした風貌に見えた。
なぜか、いたいけな印象が強く、やや小柄な松之から見ても
愛らしく、キュートな少女のイメージを感じさせた。



