…すっかり彼が現れなくなって、梨花は高校を卒業した。 もうこの通学路を辿ることはない。 電車の窓から見える景色はすっかり冬景色から春へと姿を変えた。 高校生最後の日。 梨花は彼を思い出した。 毎日見つめてた彼。 名前も知らなかった。 話したこともない。