頬を何かがかすめた。 生ぬるい何かが頬を伝う。 だがそんなこと気にしていられない。 ヒュウと風を切る音がして,俺は足を早めた。 ほんとにここいらは荒野だ。 都会の神々しさはどこへやら。 背後から迫る機械音は,離れることも,近づくこともない。 一定の距離を保って俺を追いかける。 走り続けて, 風向きが変わった。 正面からの,目を乾かすような風は, 俺の漆黒の髪の毛を逆立てる,足元からの風に。