病院で診察を受け、また千秋さんの家に私はいた。保険証を取りに家に行く時、私は車の中で待っていたからどんな話をしていたのかはわからない。
でも、すんなりとお父さんが保険証を渡していたのでケンカにはならなかったようだ。

病院では、自己紹介じみたものをしていてわかったことがいくつかある。
千秋さんは社会人で一人暮らしらしい。家族はここから遠くに住んでいるらしい。彼氏な作る気はないと、悲しそうに笑っていた。どこかの学校の保健室の先生をしているらしい。

私の風邪はたいしたことはなく、薬をちゃんと飲めば1週間ぐらいで治るみたいだった。
「ココ、好き嫌いとかある?」
「な、なんでも食べます」
「私さー、かなりの偏食なんだよね」
千秋さんは恥ずかしそうに笑った。

食べれないもの、好きじゃないものがたんたんと説明されていく。聞いていて、この人はどんな食生活を送っているのだろうと
少し不安になった。

ししとうやピーマン、青臭い野菜系統、トマト、なまこ、アワビは、口にするのも嫌なようだ。
牛肉や豚肉、ホッケ、その他の野菜は好んでは食べないらしい。

子どもみたいな味覚だと思ったのは、黙っておこう。好きなものは茶碗蒸しやたまご豆腐、プリン、ゼリーなど柔らかいものが好きなようだ。
かなりの甘党らしく、カゴの中にはジュースやらお菓子やら大量に詰め込まれていた。

「あ、あの……」
「んー?」
「今日、お仕事大丈夫なんですか?」
「私、嘔吐したことになってるから」
私はぽかんと千秋さんを見ていた。

「まぁ、吐くといろんな病気が疑わられて、生徒にうつしちゃいけないってことよ。気にしないでいいよ」
優しく千秋さんに頭を撫でられる。

その手は、暖かくてとても安心したのを今でも覚えている。
これが、ちーちゃんと私の出会いだった。