ご懐妊は突然に【番外編】

「小森ちゃんがこんなに痩せて体調を崩してたら、子どもにもいいわけないでしょ?」

そうですね、と言って頷くと涙がポタポタ床に落ちた。

「二人の子どもなんだから常務にきちんと話しなよ。小森ちゃんが1人で抱えこんでたって仕方ないよ」

私は手の甲で涙を拭いながらコクコク頷いた。

「でも、小坂さん、よく…気づきましたね」

一緒に生活している匠さんなんて全然気づいていないのに。

「そりゃね、毎日小森ちゃんを見てるから」

総さまは私の頭をくしゃりと撫でた。

「小森ちゃん、お腹触っていい?」

総さまの突然の申し出にちょっとギョっとする。

しかし真剣な表情で「未来のしゃちょーに挨拶したい」なんて言うもんだから、ついつい承諾してしまった。

「しゃちょー、マテリアル部門の小坂です。ママを全身全霊サポートするので将来は役員にしてください」

総さまはお腹をさすりながらアホな事を言っているので私は思わずケラケラ笑ってしまった。

その時会議室のドアがガチャリと開いた。

私と総さまはハッとして振り返る。

「おいおい小坂ー、こんなとこにいたのか!」

桶川部長を先頭にゾロゾロと人が入ってくる。

メンバーの中には渦中人物、葛城常務もしっかり入っていた。しかも菊田さんまで。

オーマイガッ…

匠さんが石になるんじゃないかというくらい鋭い視線を一瞬向けてきたので、総さまは慌ててお腹に触れてた手を引っ込めた。