ご懐妊は突然に【番外編】

匠さんがドアを開けると、何も置かれていないガランとした広い部屋だった。

大きな窓が2つあるので、日中は陽射しがたっぷり注ぎこみそうだ。

「ここは双子ちゃんの部屋だよ」

私は驚いて匠さんの方へ振り返る。

「双子ちゃん達が大きくなったら壁で区切れるようにもなってるんだ」

確かにこの部屋にはドアが両端にそれぞれ一つづついている。

「ちょっと気が早いけどね」匠さんは悪戯っぽく片眉を上げた。

匠さんは私の手を引いて廊下の突き当たりにあるドアを開けた。

「ここが俺達の寝室」

木製の扉を開くと、グレーのラグにダブルベッドが置かれたいた。

ベッドは私達が離れで使用していたもののようだ。

しかし、味気ないベージュシーツが私が好きそうな小花柄に代わっている。

「この家…どうしたの?」私は恐る恐る尋ねる。

「気に入ったから買ったんだ」匠さんはまるで、服でも買うような口ぶりだ。

「へぇ、そうなんだ。確かに素晴らしいものね…って、えええええ?!」

私は驚きのあまり絶叫する。

「買っちゃったって…!?車とかパソコンならまだしも家を買っちゃったの?!」

「気に入ったら家だって買うだろー」

「そんな…!簡単に言うけど、家って高いのよ?!」

そしてその中でもこの家は恐らく相当お高い物件だろう。

「いいじゃないか。双子ちゃんが産まれたら離れで暮らす訳にもいかないだろう」

「まぁ、そうだけど、本邸に引っ越す、とかもっと他にあるじゃない?!」

「それはごめんだ。会社でも家でも父さんと一緒だなんて息がつまる」

匠さんは嫌そうに眉を潜めた。