ご懐妊は突然に【番外編】

「遥、着いたよ」

肩を優しく揺すられて私は重い瞼を持ち上げた。

手の甲で目をこすりながら上半身を起こした。

「あれ?ここは何処?」

窓から見えたのはいつもの大豪邸ではなく、見慣れない家だった。

茶色いレンガ作りの外壁に囲まれた白を基調としたスタイリッシュな外観だ

「家だよ、俺たちの」

「は?」私はアホのように口をポカンと開けて聞き返す。

「とりあえず中を見てみて」

川上さんにお礼を言って私達は車から降りて行く。

ダークウッド素材の玄関の扉を開けると匠さんは「どうぞ」と言って私を中に入るよう促す。

「お、お邪魔します」

ドレスのまま、私はキョロキョロしながら家の中へと足を踏み入れた。

玄関部分は真っ白な大理石風タイルが敷き詰められて、二階まで吹き抜けになっている。

一面はシューズクローゼットになっており、収納もたっぷりだ。

白と黒のスリッパが二つ用意されていたので私は白のほうを履いて家に上がった。

「ここがリビングだよ」

匠さんが中を案内してくれる。

ドアを開けると広々とした部屋にグレーのソファーとガラステーブルが置かれている。

窓の外は中庭になっており、反対側はダイニングとキッチンになっているようだ。

「素敵…」私は思わず息を飲む。

「だろ?早く遥にも見せたかったんだ」

匠さんはニッコリと満足気に笑う。

「こっち来て」私の手を引いて再び玄関の方へ戻ると、二階へと繋がる階段を上がっていく。