ご懐妊は突然に【番外編】

最後は新朗匠さんの挨拶で締めくくる。

「本日はご多忙中の中、私と遥のために皆さんお集まりいただきありがとうございました」

匠さんは折り目正しく一礼する。

「すでにご存じの方もいらっしゃいますかと思いますが、すでに遥のお腹には新しい命が宿っています。しかも二人」

双子ちゃんの発表に会場から歓声があがった。

「婚約後、遥の妊娠がわかり、一時は体調がすぐれなかったのですが、本日は体調も良く、無事こうしてふたりでみなさまに、ごあいさつできることをうれしく思っています。まだまだ未熟な二人ではありますが夫婦として、親として頑張って行く所存ですのでこれからも引き続きよろしくお願い致します」

さっきまでは子どもみたいに我がままばっかり言っていたのに、あっと言う間に礼儀正しい紳士として振舞う匠さん。

その豹変ぶりにはいつも驚かされてしまう。

「最後になりましたが、みなさまのご健康とご多幸をお祈りいたしまして、私からのお礼のあいさつとさせていただきたいと思います。本日は、まことにありがとうございました。」

会場からは拍手喝采があがる。

私と匠さんは見つめ合ってギュッと手を繋いだ。


二次会の後、無口な運転主川上さんの運転するリムジンに乗り込み私達は帰宅の途に着く。

ホテルに一泊する予定だったけど、匠さんが家に帰ると言いだして急遽予定を変更した。

今日は緊張しっぱなしだったのでヘトヘトだ。

「遥、身体は大丈夫?」

匠さんは心配そうに私の顔を覗きこむ。

「うん、ちょっと疲れてるだけ」

「じゃあ、家につくまで少し眠るといいよ」

「お言葉に甘えて」隣に座る匠さんの肩によりかかる。

心地よい振動と匠さんの香りに包まれていると安心して瞼が徐々に重たくなってくる。

私はあっと言う間に意識を失った。