ご懐妊は突然に【番外編】

披露宴後は二次会である。

会場はメイン通りから少し入った静かな通りに佇む、一軒家のイタリアンレストランだった。

1階は広々としたテラス席が併設され、2階のラウンジと2フロアが貸し切りになっている。

「葛城常務、お待ちしておりました」

リムジンから降りたった私たちを総さまが早々にお出迎えする。

「ささ、こちらへ」

派手派手しい演出もなく、窓際にセッティングされた新郎新婦の席へと案内された。

「では飲み物を取ってきますね」

出来る男、総さまはすかさずドリンクを取りに行ってくれた。

「さすが小坂。解っているじゃないか」

早々と豪華なお衣装を脱いだ匠さん。グレーのスーツに着替えて晴れやかな表情をしている。

私もイエローのエンパイヤドレスに着替え、お腹の締めつけがなくなって随分楽になった。

「お待たせしましたー」

総さまが喜び組の香織とユミ、後輩の小林と須藤を引きつれてご機嫌を伺いに来る。

「いやーハートウォーミングな披露宴でしたね」

総さまはすかさず匠さんのグラスにシャンパンを注いだ。

お酒の飲めない私にはグレープジュースを持ってきてくれた。色だけ赤ワイン気分だ。

「葛城常務ってパーフェクトな故に近寄りがたい所があったんですけど、人間だもの、って思いました」

須藤は目をキラキラさせながら言う。

みつをかよ。

私は思わず心の中で突っ込む。

「ホントー!カエルになりたかった、なぁんてチャーミングな一面もあるんですね」

香織が無邪気に言うと、周囲は堪え切れずに吹き出した。

恐らく匠さんの影でのあだ名は『カエル王子』で決定だろう。

私まで『カエル姫』と呼ばれないといいけど…なぁんて一抹の不安が胸を過った。