ご懐妊は突然に【番外編】

来賓のお客さまよりありがたーいお言葉を頂戴し、披露宴はつつがなく進行していく。

『ここで新郎新婦の生い立ちをご紹介致します』

司会進行のアナウンスと共に、どでかいスクリーンに赤ちゃんの写真が写された。

『新婦小森遥さんは小森家長女として神奈川県川崎市で誕生しました』

自分で言うのはなんだけど、小さい頃の私は結構カワイイ。

その上、厳選してベストショットを選んで来た。

ナレーション付きで自分の生い立ちを見るのもなかなか感慨深いものがある。

『遥さんは私立美田高校にご入学され、高校時代はテニス部に所属されていたそうです』

スコートをはいてピースしている写真はなかなか爽やかである。

隣には憧れだった中谷祐介先輩も映っていた。

『高校卒業後は見事難関の東栄大学に進学した遥さん。日本の将来を背負って立つという立派な志のもと経済学部を専攻されました』

大学時代の写真がスライドに映し出される。

ま、男を追いかけて入学したんだけどね。

しかも、匠さんとは違う人。

『そこでは思いもよらない運命の出会いがありました』

私と匠さんのツーショット写真が写された。

軽井沢へ旅行に行った時に撮った写真で、二人は仲睦まじそうに笑っている。

『一目あった瞬間からお互いに惹かれ合ったというお二人。意気投合して直ぐに交際が始まったそうです』

「おいおいおい、完全に捏造だろ?せめて友人から徐々に距離を縮めてくパターンにするべきじゃないか」

匠さんは小声で突っ込んだ。

「原稿は全てお義母さんが作成したから」

もう彼女は誰にも止められなかった。有能なウェディングプランナー天野女子でさえ。

私の生い立ちを紹介した後に、再び赤ちゃんの写真がスライドに映る。

「まさか…」匠さんは目を見開いて絶句した。