ご懐妊は突然に【番外編】

息つく間もなく、再びドアがノックされる。

「どうぞ」と返事をすると、ビューティフルな男女が入って来た。

控え室の雰囲気が一気に華やぐ。

葛城家の長女晴子さんと末っ子航生さんだ。

晴子さんは黒のロングドレスを着て髪をハーフアップにしており、航生さんは黒のタキシードを着ている。

目鼻立ちのハッキリした二人はそっくりで、ため息が出るほどゴージャス。

晴子さんは匠さんを一目見るなり爆笑した。

「あんた何なの!その格好!どこの国の石油王かと思ったわよ!」

しかし、口を開けばシニカルだ。

「母さんが勝手に決めてたんだよ」匠さんは嫌そうに眉を顰めて言う。

「結婚式の打ち合わせを母さんに任せるなんて俺には怖くて出来ないよ。さすが兄さん、男だね」

航生さんは口元に手をあててクスクス笑う。

「遥さんはとても素敵だね」航生さんが柔らかく目元を綻ばせると、思わず頬が赤くなってしまった。

「ほんと妖精みたい!」晴子さんもニッコリ微笑んだ。

「お腹苦しくない?」晴子さんは私の体調を気遣い「双子ちゃんたちも頑張るのよ」と言ってお腹をさすってくれた。

『超怖い』と聞いていたけど、晴子さんは私にとても良くしてくれる。

匠さんには容赦ないけど。

葛城家三姉弟が集まると、1人の不在が否応無しに意識されてしまう。

「燁子には連絡取れたの?」

晴子さんが尋ねると匠さんは首を横に振る。

「まあったく、あのじゃじゃ馬は何処に行っちゃったんだか」

晴子さんは腰に手を当ててため息を着く。