ご懐妊は突然に【番外編】

そして迎えた結婚式当日


二人の新しい門出を祝福するかのように空はスッキリ晴れ渡っている。


「おい…これは正気か?」

白いタキシードにゴールドの装飾をあしらった豪華絢爛なお衣装を身にまとい、匠さんが控室に入ってくる。

清々しい秋の陽気とは裏腹に、匠さんは死んだ魚のような目をしている。

「あらぁ、素敵ね」私は思わず吹き出してしまう。

「これで人前に出るくらいなら下着姿の方がまだマシだ!」

匠さんはプリプリ怒っている。

いい気味…

私は心の中でほくそ笑んだ。

何かにつけて口実を作り、式場の打合せに一度も出席しなかったバツだ。

まぁ、お義母さんは本気で息子の為を思って選んだ衣装なんだけどね。

ただ、想像していたよりかは面白くはなかった。

匠さんは持ち前のエレガントさでさらりと着こなしている。

さすが御曹司。

私は「じゃーん」と言って立ち上がり、景気付けにドレス姿を披露する。

サテンとオーガンジーを使った上品なプリンセスラインのウェディングドレスだ。

随所に施された刺繍が華やかさを引きたてている。

髪はフンワリとアップに結いあげた。

「いいねぇ」さっきまで仏頂面だったけど、私のドレス姿を見て匠さんは一気に破顔する。

「お腹もあまり目立たないでしょ?」

「お姫さまみたいだな」匠さんは私の手をそっと取る。

「皆は美しい遥に注目するから、俺の衣装なんて誰も気にしないか」

私はクスクス笑いながら頷き、匠さんの手に指を絡ませる。

「遥」匠さんは優しく微笑み、ゆっくり顔を近づけてきたので、私はそっと目を閉じた。