ご懐妊は突然に【番外編】

「そ、それで?男の子?女の子?どっちなの?!」

「ま、まだわかりません」

葛城母は興奮しているのか目がギラギラしてる。

「予定日は?」

「ご、5月10日です」

「まあ!5月産まれならお受験にピッタリじゃなあい!後は早産にならないよう気をつけないとね」

「は?」私と匠さんは呆気に取られる。

「双子ちゃん…ああ、楽しみすぎて失神しそうだわ…」

葛城母は額に手を当て、フウ、と悩ましげに溜息をつく。

「こらこら、今からそんなに張り切ってちゃ身が持たないぞ?」

お義父さんはクスクスと笑いながら、妻の暴走を窘めた。

「遥が色々気にしてるんだよ。周囲の人に何か言われるんじゃないかって」

「確かにそうね!」お義母さんはハッとしたように目を見開いた。

やはり世間体というものを気にする感覚は備わっているようだ。

「双子ちゃんが産まれるなんて言ったら、ひがまれるかしら」

前言撤回

やっぱり凡人の感覚とはズレている。

「そうじゃないよ、母さん。結婚前に子どもが出来るのは順序が逆だろ?遥はそれを気にしてるんだ」

「いーじゃなーい。どうせ結婚するんだから」

お義母さんはまったくブレがない。

「いやいや、そうゆう事をうるさく言う人もいるからさ」匠さんは苦笑いを浮かべて言う。

「うちの大事なお嫁さんと双子ちゃんをとやかく言うような人がいたらお仕置きよねえ、貴方?」

お義母さんはニッコリと迫力のある笑みを浮かべる。

「そんな度胸のある人は、なかなかいないと思うけどなあ、匠?」

お義父さんも口調は穏やかだが、目は全然笑ってない。

「倍返しだね」

「いやいや、百倍返しだろ」

某ドラマの真似をして葛城一家はキャッキャと陽気に笑う。

だけど、倍返し、は恐らく本気だろう。

何をするのか末恐ろしいのでちょっとくらい嫌な思いをしても我慢しようと私は腹を括った。