ご懐妊は突然に【番外編】

「結婚してないのに子どもができちゃったら、匠さんが悪く言われるんじゃないかってずっと不安で」

匠さんは私を抱き寄せた…今度はそぉっとお腹がつぶれないように。

「そんなこと、どーでもいいでしょ。一人で不安な思いをさせて悪かったな」

広い胸にしがみついて私は何度も頷いた。

「しかも気持ち悪くてご飯も食べられなくて」

「大丈夫、明日から無理しないで。職場にも俺からよーく話しておくから」

「…え?!」思わず私は顔を上げる。

「それって…私達のこと話すって事?」

「なんか差し支えある?」

それはない…けど…「匠さんから話す前に自分で部長に話をしたいのだけど」

私の申し出に、ええ?!と眉を顰めて匠さんは不満気な表情を浮かべる。

自分の事は自分できちんと話をつけたい、と言っても匠さんはなかなか納得してくれず、一緒に話すという事で渋々折れてくれた。

「最近遥が仲良くするのを拒むからさ、てっきり浮気でもしてるのかと思ったよ」

匠さんは甘えてすり寄ってきた。

ああ!と匠さんは声を上げたので私はビクリと身体を強張らせた。

「今日、小坂と会議室で話していたのも、この事?」

私はクスクス笑いながら頷いた。

「総さまったらおかしいのよ、未来の社長に挨拶したいからお腹を触らせてほしい、って言い出して」

「そうだったのか。てっきりイヤらしい事をしてると思って危うく中東へ飛ばすとこだったよ」

てへっと可愛らしく笑っているけど言ってることは極悪だ。

総さまが中東へ飛ばされる前に赤ちゃんの事を話せて本当によかったと思った。