ご懐妊は突然に【番外編】

「へ?」

匠さんはアホのようにポカンと口を開いて首を傾げた。

「お腹に、赤ちゃんがいるの。だから乱暴なことしないで」

…ああ、ついに言ってしまった。

きっと、匠さんを困らせるに違いない。

両目から堰を切ったように涙が溢れた。

「それは間違いないのか?」

匠さんの問いに私はこっくりと頷く。

「この間、病院行って来たの。妊娠三カ月だって」

「う、嘘だろ?」

匠さんは大きく目を見開き絶句している。

「まさか…小坂の子か?」

「んな訳あるか!」本日二度目のツッコミだ。

「それじゃあ…」

「勿論、匠さんの子どもだよ」

匠さんは、ボソっと何か呟いたが聞き取れず、私は「はい?」聞き返す。

「でかしたぞ…遥!」

匠さんはギュッと私を抱きしめた。

「ちょっとお腹!」と注意すると慌てて身体を引き離す。

「喜んで…くれるの?」私は潤んだ瞳で匠さんを見上げる。

「当たり前じゃないか!」

匠さんはさっきまでの引き攣った顔から一気に破顔する。

ホッとしてまた私はベソベソ泣きだした。