ご懐妊は突然に【番外編】

AM1:00

玄関から物音がして私はフト目が覚める。

匠さんが帰って来たのかな。

ドシンと倒れるような音がしたので、私は起きあがり近くにあったカーディガンを羽織って玄関へ様子を見に言った。

「匠さん?」

「おお!遥、起きてたのか」

起こされたんだけどね、と心の中で皮肉る。

顔は赤くて目は焦点が合っておらずアルコール臭い。相当飲んできたようだ。

千鳥足で躓いたのか玄関の傘立てが横倒しになっている。

さっきの音はこれだったようだ。

「遥、おみやげー」

匠さんは紙袋を私に差し出す。

開けてみると中身は高級赤ワインだった。

私の大好物…だけど、残念ながら今は飲むことが出来ない。

「ありがとう。今度いただくわ」

「今度?今度って何だよ今度ってーこれから飲むんだよ」

これだけ酔っ払っているのにまだ飲むつもりか。

匠さんが私の肩に腕を回し絡んでくると、仄かに女性物のコロンが香った。

…このやろー。

私が一人で苦しんでいる時に、こいつは仕事と銘打っては、またどっかのアバズレと遊び歩いていたようだ。

「ふざけんな!」

私は怒りのパワーで匠さんの腕を振り払い突き飛ばした。