そして夜、車を飛ばし、兄の元へと急いだ。
着いたのは夜中の3時だった。
久しぶりに会う母は、
とてつもなく老けていた。
長男の兄とは10年以上も会っていなかった。
昔の面影は少ししか残っていなかった。
兄は、櫃の中で眠っていた。
綺麗な顔をしていた。
今にも起きそうな錯覚を覚えた。
母は言った。
全身の血を抜いて、特殊な液を身体に入れてるの、だから、とても綺麗でしょう?
死んでないみたいでしょう…
死後2日経っていた兄の身体は
冬だというのに内蔵がすでに腐りかけていたのだそうだ。
母と長男の兄は、ありったけの愛情を兄に捧げていた。
今、出来ること限り、全てを
やり尽くしていた。
兄の頬に触れると、
とても冷たかった。
それは、私達家族の冷酷さと
同じだった。
痛いほど、冷たい。
人の温もりなど全く感じられないものだった。
私は、涙が止まらなかった。
愚かすぎる自分にただ、涙が止まらなかった。

