何故兄なんですか?
何か悪いことでもした罰なのですか?
兄はただ、誰よりも家族を愛していた。
大好きな父を救う為、
自ら身を削った。
大好きな母を救う為、
何があっても気丈に振る舞い、
弱音を一切吐かなかった。
私には、昔のままの
強い兄で最後まで貫き通した。
なのに、兄以外の私達、家族は…助けて貰っておきながら、
兄の気持ちを踏みにじった。
それぞれの生活があるから…
今は新しい家族があるから…
今さら、気づいても遅すぎる。
兄はもういないのだから…。
誰よりもバラバラになった家族をまた昔みたいに戻したいねと
願っていたのは兄だった。
一番、人間として大切なものを 大事にしていたのは、他ならね兄だった。
私達、他家族は、
忘れていたのだ。
葬儀はクリスマスの日に行われた。
父に葬儀に参加して欲しくて、
父の家まで迎えに行った。
父はどう思うだろう。
兄は、縁を切ったと言っていたが、私と連絡を取り合う度に、父の身体のことを心配していた。
そして、父にちょくちょく会ってくれ、と私に言っていた。
父に兄の死を告げると、
父はうろたえていた。
葬儀に来てと懇願するも、
言葉にならない声で断られた。
葬儀に行きたい…
でも、行けない…
離婚した母と長男がいる葬儀には、顔向けできない。
今まで犯してきた罪の重さに、
父は結局、足が動かなかった。

