しかし、この時、すでに遅かった。
兄の身体は限界を越えていた。
強力な抗精神薬の副作用で、
いくら食べても太らなかった体質の兄の体重が短期間に20キロ近くも増えていた。
そして、足の浮腫が酷い状態だったのだ。
兄の心臓はこの時、すでに悲鳴を上げていたのだ。
何も言わない兄。
人の心配ばかりして、自分のことは一切言わない兄。
昔からそうだった。
自分のことより、人のことを
一番に心配する兄。
最後まで、弱音一つ吐かなかったのだ。
兄の死後、兄の同僚から、この事実を聞かされた私は茫然とした。
なんで気づいてあげれなかったんだろう。
なんで、兄の痛みや苦しみが
わからなかったんだろう。
私は、とても冷酷な人間に
成り下がっていた。
それは、きっと、
いつも誰かに守られて生きてきたから。
いつも、兄に守られて生きてきたからだ。

