翌日の私は上機嫌で仕事をこなした。

夕べのHARUとの出来事を思い出すだけで、あと1週間くらいは元気に頑張れそうだ。


「お疲れ様です」
休憩室で同僚の谷口くんに挨拶をすると、彼は私の表情を見て、パッと顔を明るくした。
「お疲れ様です。
なんか小高さん、ご機嫌ですね?
メイクも気合い入ってるし。何かありました」

メイクについては、先日、突然押しかけてきたHARUと景斗の一件以来、気合いが抜けなくなってしまって、常にフルメイクを維持している。
でも機嫌の方は……

「ふふ。今、好きな人といい感じなんだー」
堪えきれない笑みを口元に浮かべて、私は答える。

「おおっ! 久々に小高さんの恋バナ!」
聞いてといわんばかりに含みを持たせて言った私に、谷口くんは食いついてきてくれた。
「相手どんな人? 今度はまともな人ですか? 写真とかないの?」
彼がいきなり『まともか?』なんて聞いてきたのは、私が今までに経験してきた泥沼恋愛遍歴を知っているからだろう。

「ふふふ」
私は携帯の画面に彼の写真を表示する。
先日デジカメで撮影した彼の写真を携帯に移動してきたのだ。
仕事の合間、この写真を見ては、元気をチャージしている。