2・5次元の彼女

会計を済ませると、HARUはレシートの裏に自分の携帯電話の番号を書いてユウに持たせた。
「近くで景斗と飯食ってるから、仕事終わって時間があったら電話して」
受け取ったユウは少し困惑した様子だった。

彼女を残し、景斗とHARUのふたりは百貨店を出て駅の方向へと向かう。

人混みを歩きながら、景斗はため息を漏らした。
「ユウさんは、戸惑っていたのかもしれません。
僕の年齢が、思った以上に上だったので」

景斗の言葉にHARUはなるほど、といった顔で頷く。
「お前、ゲームの中ではユウにべったりだったもんな。
弟みたいに思われてるんじゃないのか?」

弟か、と、景斗は肩を落とした。
確かに、彼女には甘えすぎていたかもしれない。

「ユウさんの前では、若いふりをしていた方が、今まで通り接してくれるかもしれない」

ありのままの自分を受け入れてもらえないのは正直複雑な心境ではあるが、それで彼女が喜んでくれるのなら、安いものだろう。
ゲームも現実も中身は一緒だ。違うのは見てくれだけ。


適当に入りやすそうな飲み屋を見繕って、ふたりは中に入った。
さて、これからユウが来るまで時間を潰さなければならない。

「ユウさん、来てくれますかね」
少し不安そうな景斗に、HARUは明るく答える。
「大丈夫だろ。
ユウはもう怒っていない気がするな」

根拠なんかないだろうに、不思議とその通りに聞こえた。
HARUが言うと本当にそうなる気がする。
「そうだといいな」
景斗は静かな微笑みでHARUに答えた。