2・5次元の彼女

結局、彼女と会うことはできなかった。
どうしようもない気持ちを抱えたまま、月曜から木曜が過ぎ、金曜が今終わろうとしている。
その間、ユウとの関係が改善することはなかった。

景斗はゲームの合間をぬって再び携帯電話を手に取った。
今、モニター上で共にゲームをしているHARUに、改めて電話をかける。

肩に携帯電話を挟みながら、マウスでキャラクターを操作する。
長いことオンラインゲームをしていると身につく器用な芸当だ。

長めの呼び出し音のあとに『おう、どうした?』とHARUの低い声が聞こえた。

ゲーム内のHARUがイリーナと会話をしているところから、HARUも同じような体勢で電話を受けているのだろう。

「HARUさん?
ユウさんに会ったんだ」

景斗の言葉に通話口のHARUは驚きの声を上げる。

「いや、正しくは、会いそうになって、逃げてきた」

景斗が経緯を説明すると、HARUは嘆息した。
『いや、むしろそれでよかったと思うぞ。
突然仕事場に押しかけられたら、彼女は混乱するだろう。
下手したら、ストーカー扱いされるんじゃないか?』

HARUの言う通りだ。考えが疎かだったかもしれない。

「やっぱり、このまま時間が流れるのを待つしかないんですかね……」

すっかり気落ちした景斗に、HARUは大きなため息をついた。
『仕方ない。一肌脱いでやるとするか』

え? っと景斗が首をかしげる。

HARUがよし! と何かを決めたように呟いた。
『明日15時に集合な』
「HARUさん?」
『一緒に謝りに行ってやるよ。
2人で行けば、少なくともストーカーには間違えられないだろ』

その言葉に景斗は瞳を輝かせた。
やっぱりHARUは頼もしい。

「ありがとう、HARUさん!」