2・5次元の彼女

突然鼓動が大きく脈打ち始めた。
予想もしなかった事態に景斗は動揺する。
胸が詰まり、息苦しくなる。

この感情が何なのかを、景斗は知っていた。

初めて彼女に出会ったとき
あの瞬間、景斗がユウに向けて抱いていたのは恋心。
なにしろ、ユウのことをイリーナだと勘違いしていたのだから。

まさかそのときの感情が、今だ根付いているだなんて。

あれは、イリーナではない。
なのにどうして
こんなに愛おしく感じてしまうんだろう。

それはまるで、刷り込まれてしまったかのように。

イリーナに対して抱いていた恋心は
彼女のあの姿に焼きついて
この切ない気持ちが、もはやイリーナに向けたものなのか、ユウに向けたものなのか、景斗は自分でもよくわからなかった。

どうしよう。

戸惑いを抱えたまま、彼女に見つからないようにこっそりと背を向けた。

まずいよ。
こんな気持ちのまま会うことなんてできない。
とてもまともに彼女の顔を見れるとは思えない。

景斗は必死に動揺を押し殺しながら、もと来た道を歩き出した。