帰り道、私は胸の奥から込み上げてくる怒りのやり場に困っていた。
自然と早足になる。


景斗のやつ、あんなことをして何を考えているんだろう。
……いや、酔っ払っていたから、何も考えていないか。

ゲームの中の景斗は、優しくて、穏やかで、純真な男の子で
女慣れしていなくて、自信がなくて、頼りなくて

なのに
なんであんなキス……

思い出して、頬が熱くなる。
胸の高鳴りまで蘇ってきた。


実際の景斗は、大人っぽくて、私より年上で
……ほんの少しだけど……格好良くて……

なんだよ、女慣れしてんじゃん。
経験豊富じゃないと、とっさにあんなキス、できるわけないよ。
奥手のふりして……私をバカにしてる?

自分より、うわてな景斗を見るのが嫌だった。

ドキドキする。イライラする。
なんだかすごく不愉快だ。
HARUにも勘違いされちゃったし。
景斗の顔なんて、もう見たくもない。