2・5次元の彼女

並木道の真ん中。誰の姿も見えない闇を背後に。
私と景斗は少しの距離を開けて、ぎりぎり手が繋がっていられるその場所で、立ち尽くした。

「ユウさんの意に沿わなかったかもしれないけど……
できれば、このまま、HARUさんのところには戻らないで欲しい……って僕は思う」

つい先程、私をHARUから奪いに来た威勢はどこへいったのかと思うくらい、景斗はか細い声で呟いた。

「うん。わかってるよ。だいじょうぶ」

私は微笑んで見せた。もしかしたら棒読みだったかもしれない。
そんな私を心配そうに、気遣わしげに、景斗がじっと覗き込む。

不安そうにしている景斗がなんだか可哀想になって、私はもう一度呟いた。

「だいじょうぶだよ」

そして自分へ言い聞かせた。私は、だいじょうぶだ、と。

「ユウさん」

景斗が一歩踏み出して、私の手を両手でぎゅっと包み込んだ。
が、積極的な態度とは裏腹に、私の目は見れないらしい。目を伏せながら搾り出した声は掠れていた。

「代わりに、ユウさんの望むこと、全部僕が引き受けるから。
それじゃダメかな?」

引き受けるって、どういう意味だろう。
全部って、どこまでだろう。

景斗にとって私はただの友達なのに。
どうしてそんなことが言えるんだろう。

何も答えられない私に痺れを切らしたのだろうか、景斗が続ける。

「僕じゃ、HARUさんの代わりにならない?」