「今日、帰ってくるの、待ってる」
「……うん」
「仕事、頑張って」
「……うん」
「いってらっしゃい」
「……いってきます」


HARUがそっと私にくちづけた。
私は目を閉じて、その感触を受け入れる。



今日の夜も、私はHARUの元に帰ってきてしまうのだろうか。
馬鹿なことをしていると分かっていても、抗うことはできなさそうだ。

これは地獄だ。
誰か救い出して。

助けを呼ぶ声は、どこかひとごとで、どこへ行き着けばいいのか、もう考えたくもなかった。