2・5次元の彼女

「ひょっとして景斗って神経質?」
テーブルの上にきちんと並べられたリモコンを手にとりながら、イリーナが問いかけた。
「ううん、来客用に綺麗にしただけ。普段はもっと雑に置いてあるよ」
「そんな気を使わなくていいのに」
ついさっき人の部屋を批評したばかりのやつが言う言葉とは思えない。

「まぁ、でも綺麗にしてくれててよかったよ」
イリーナはニヤリといやらしい笑みを浮かべて、言った。
「もうひとり呼んじゃった」
「もうひとり?」
景斗は嫌な予感に眉を寄せる。


そのとき

ピンポーン……

図ったかのようにインターフォンが鳴り響いた。


「おー、思ったより早かったなあ」
イリーナが能天気な声を上げた。

「イリーナ、誰を呼んだんだ?」
そう問いかけながらも、あらかた予想はついていた。
そもそも、景斗とイリーナの共通の知り合いといったら、2択しかない。

「景斗、会いたがってるかと思って」
その答えで予想がついた。

「連絡取れないから諦めたんじゃなかったの?」
「携帯の番号聞いてたから、いつでも連絡とれるよ~」
イリーナは自分の携帯をひらひらと振りながら、意地悪におどける。

景斗はげんなりとしながら、仕方なく玄関へ向かった。
まさか女性を招くことになるとは。確かに掃除をしておいて正解だった。
それにしても、彼女と会うなんて思ってもみなかったから、心の準備がまだできていない。
どんな顔をして会えばいい?

答えを出せないまま、景斗はドアノブを手に取った。