2・5次元の彼女

焦りながら午後の会議の資料を作っている間は、頭がはっきりとしていた。
終えた途端、安堵からか神経が緩む。

ああ、早くも寝ちゃうかもしれない。

自分を必死に奮い立たせながらメールのチェックなんかをしていると、机の脇に置いていた携帯電話が短く震えた。

新着メッセージのアイコンを叩くと、送り主はイリーナ。
珍しさになんだろうと思う。
ゲーム上ではなく、携帯に連絡が来るのは初めてだった。

『眠い。答案ほぼ白紙。補講確定』
悲観的に綴られた単語に、思わず小さく吹き出してしまった。

景斗は簡潔に返信を打つ。
『昨日はありがとう。次の補講は頑張って』
昨日といってもついさっきの出来事なのだが。少し変な感じがする。
メッセージを送信すると、間髪入れず携帯が震えた。

『英語嫌い。レポートとか無理だし。もう単位諦めようかな』

ひょっとしてイリーナは、自分に付き合って勉強が出来なかった訳じゃなくて、単純に英語がやりたくなかっただけなのでは?
嘆息して、次のメッセージに指を滑らせた。

『頑張れ。僕も出来ることがあれば手伝うから』

出来ることなんてないだろうと思いながらも、せめて気持ちだけでも伝わればいいなあと、送信ボタンを押した。