聖夜の鐘

「ごめん、ごめん!
……だけど、元々は君が悪いんだよ。
僕の方からは絶対に電話も手紙もしないでくれって言うんだもん。
なのに、君からの連絡は全然来ない…
きっと何か理由はあるだろうとは思ってたけど、それでも
僕はとても寂しかったよ。」

今度はエディが拗ねたように口を尖らせて見せた。



「エディの馬鹿!
どうしてそういうとこだけ真面目に約束を守るのよ!
電話だって手紙だって…ううん、会いに来てくれても良かったのに…
私があんなこと言ったのは……あなたからの連絡がなくなるのが怖かったからなの。
あなたはきっと最初のうちは手紙や電話をくれるだろうけど、環境が変わればそれがだんだん少なくなっていくかもしれない…
会話の中にも私の知らない友達の名前が増えていったりしたら、私、きっと寂しいから…寂しくてどうにかなってしまいそうだったから…
だから…あんなことを言ったの。
……でも、心の底では待ってたのよ、あなたから連絡が来るのをずっと……」

「……そうだったの……
レイラ…ごめん。
僕もね…実はそのことを後悔してたんだ。
父さんの仕事の都合で大陸を渡って外国に移り住んだ時は、本当のことを言うととても心細かったんだ。
何ヶ月も船に揺られて、やっと辿りついた国では言葉も通じなくて…
こんな遠くに来てしまったんじゃ、もう二度と君に会えないんじゃないかって絶望したよ。
でも、僕も大人になるにつれ、いろんなことに慣れていくうちに、大陸に着いた時ほどの心細さも君との距離も感じなくなっていた。
そして、僕が23歳の時、また父さんの仕事の関係でこの国に戻って来たんだ。
あの時、僕は何度君に会いに行こうと考えたかわからない!
でも、あと三年したら君と会える…七年も我慢出来たんだから、あと三年なんてすぐに過ぎ去るって自分に言い聞かせて…
……でも、やっぱりあの時、会いに行けば良かった……会いに行くべきだったんだ……」

そう話すエディの顔には、暗い影が差した。