聖夜の鐘





「思ったより遠いんだね。
あの頃、ここは恋人達の聖地みたいに言われてたけど、最近はあんまり騒がれてないようだね。
僕達の他には誰も上ってないよ。やっぱりこんなに遠いからかもしれないね。」

「そうね。
この道程は都会育ちの人にはきついかもしれないわね。
でも、そんなことどうでも良いじゃない。
私は楽しいわ。あなたとこうして腕を組んで歩けるのが。」

レイラは、エディの顔を見上げて嬉しそうに微笑み、エディも同じように微笑を返した。



「そうだね…
他の人のことなんて、関係ないよね。
僕達が楽しければそれで良いんだ。
……ねぇ、レイラ…
あれから君はどうしてたの?
……誰かとつきあった?」

「え……そ、それは……」

レイラは、急に落ちつきなくあたりを見まわし、そして、何も答えないままそっと俯いた。



「あ~~っ!酷いな!
その顔はあるんだね!」

「ご、ごめんなさい!
で、でもね、つきあってみたから、私が本当に好きなのはエディだって気が付いたのよ!?
その人…とても強引で…
私は特別好きだったわけじゃなかったんだけど、その…押しきられたっていうのか…なんていうのか…ごめんなさい!!」

必死になって弁解するレイラの様子にエディは噴き出した。



「君は本当に正直だね。
そんなに気にする事ないよ。
君はとても素敵になったから、そりゃあ言い寄られるのも無理はないよ。
それにね……実は、僕も何人かとつきあったんだ。
付き合ったって言えるかな…
結局、どんな子と一緒にいても僕の心の中は君のことばかりだったからね。」

「もう~~っっ!
エディったら…ずるい!
昔からあなたはそんな風だったわね。
謝って損した!」

レイラは頬を膨らませ、大袈裟に顔を背けた。