聖夜の鐘

*



「十年の間に、お互いいろんなことがあったのね…」

「そりゃあそうだよ。
十年っていったら……あ……レイラ…雪だ!!
雪が降ってきたよ!」

エディは突然目の前をかすめた白い雪に、子供のように興奮した声を上げた。



「本当だわ!
……これが雪……私、雪を見るのはこれが初めてよ!」

「僕もだよ!
僕達の住んでた町では雪が降ることなかったもんね。
僕が七年暮らした大陸も温かくてね…
……これが本物の雪……とっても綺麗だね……」

エディは立ち止まり、舞い降りて来る雪たちを受け取るように手の平を上に向けて空を仰いだ。



「本当ね…
最高のクリスマスプレゼントだわ…」

エディと同じようにして空を仰ぐレイラのその言葉に、エディははっとする。



「ごめん!レイラ!
……今日、クリスマスのプレゼントを持って来てないんだ。」

いかにも申し訳なさそうなエディのその顔に、レイラは思わず微笑んだ。



「そんなこと、構わないわ。
あなたが来てくれただけで…こうして会えただけで、私、本当にとても幸せなの。」

「……ごめんね。
……君に何か素敵なものを贈りたかったよ…」

「良いんだってば!
私も何も持って来てないし…あ、エディ!見て!きっとあそこよ!」

「えっ!?」

二人が駆け出した先にあったのは、予想していたものよりもずっと古くて粗末な鐘だった。



「……僕…もっと大きくて立派なものかと思ってた。」

「私も……」

二人は顔を見合せて微笑んだ。



「…でも、そんなことどうでも良いわ。
あなたと一緒にこの鐘を鳴らすのが、私の夢だったんですもの。
嬉しいわ…ついに、その夢が叶うのね…
ありがとう!エディ…!」

レイラは鐘の紐を手に、エディがそれを持ってくれるのを待った。
しかし、エディはそれに応じることはなく、俯いたまま悲しげに首を振る。



「……どういうこと?
エディ?どうして一緒に鐘を鳴らしてくれないの?
本当は私のことが好きじゃないの?」

「そうじゃない!そうじゃないんだ…!」

エディは珍しく眉間に皺を寄せ、苦しげな顔で声を荒らげた。